賃貸でNISAか戸建て購入か|毎月の家賃の使い道から考える住まい選び

毎月の家賃を払いながら、このまま賃貸に住み続けてよいのだろうかと考えたことはないでしょうか。賃貸のまま浮いたお金をNISAに回して資産を増やすほうがよいのか、それとも戸建てを購入して、毎月の支払いを自分の住まいのために使うほうがよいのか。物価の上昇が続くなかで、こうした迷いを抱える方は少なくないように感じます。
この「賃貸でNISAに資金を充てるのと、戸建てを購入して自分の資産に家賃を充てるのとでは、どちらがよいのか?」というご質問は、実際に私が住まいのご相談を受けるなかでよくいただくものです。今回はこのご質問に、私なりの考えをお伝えします。
賃貸のままNISAに回すか戸建てを買うか、というご相談
このご質問をくださるのは、毎月家賃を払いながら暮らしている方です。家賃は暮らしに欠かせない支出である一方で、何年払い続けても手元には何も残らないことに、どこか引っかかりを感じていらっしゃるのだと思います。
そこで候補に挙がるのが、賃貸に住み続けながらNISAで資産形成を進める方法と、戸建てを購入して住宅ローンを返済していく方法の二つです。どちらも将来に備えるための選択肢であることに変わりはありませんが、毎月出ていくお金がどこに向かうのかという点で、両者には大きな違いがあります。
近年は物価高などの影響もあり、住まいの取得そのものに不安を抱えた方からのご相談も増えています。私はこれまで不動産仲介や不動産売買の仕事に加え、FPとしての相談業務にも携わった経験があります。住まいの話とお金の話は切り離せないものですから、このご質問についても、物件の良し悪しだけでなく、家計や将来の資金計画とあわせて考えることを大切にしてきました。
家賃はどれだけ払っても自分の資産にはなりません
結論からお伝えすると、賃貸の場合、どれだけ家賃を払い続けても、その家賃があなたの資産になることはありません。家賃は住まいを借りるための対価であり、住み続ける限り支払いが続く一方で、支払った分が自分のものとして積み上がっていくわけではないからです。
これに対してマイホームは、毎月の住宅ローンの返済を通じて、住まいそのものが自分のものになっていきます。そういう意味でも、私はマイホームを、今の暮らしを支える場所であるだけでなく、老後の安心を支える資産のひとつとして考えています。
年齢を重ねてからも住まいを確保しておけることは、将来の暮らしを考えるうえで心強い材料になるはずです。住宅ローンの返済も家賃の支払いも、毎月一定のお金が出ていく点では同じですが、その支払いが将来の自分の住まいにつながるかどうかという点で、意味合いは大きく異なります。
もちろん、住まいの選び方は一人ひとりのご家庭の状況によって異なりますので、どなたにも戸建ての購入が向いているとは限りません。ただ、毎月の家賃をどこに向けるのかという視点で考えてみると、賃貸とマイホームの違いがはっきり見えてくるのではないでしょうか。
毎月3.3万円を20年間積み立てた場合の試算から見えること
では、賃貸に住みながらNISAで資産形成をする場合を考えてみましょう。ひとつの目安として、NISAを活用して毎月3.3万円を20年間積み立てた場合の試算があります。仮に年5%の複利で運用できたとしても、20年後に貯められるのは1,300万円程度にとどまります。
積み立てた元本は合計で約792万円ですから、運用によって増える部分はあるものの、それだけで老後に必要な資金をまかなうには少し足りない可能性があることを覚えておいていただきたいと思います。
なお、この試算はあくまで年5%で運用できたと仮定した場合の計算です。実際の運用成果は市場の動きによって変わり、元本を下回る可能性もありますので、試算どおりの金額になることを約束するものではありません。
積立額や運用期間、運用の結果によって将来の金額は変わりますので、ご自身の家計に置き換えて考えてみることが大切になります。
NISAは資産形成の手段として活用する価値のある制度だと私も考えています。それでも、NISAだけで将来の備えがすべて整うわけではないという点は、賃貸かマイホームかを考える際に知っておいていただきたいポイントです。
住まいにかかる毎月の支出と資産形成とを切り離さずに、家計全体の中で考えていくことが大切だと感じています。
諸費用までローンに組み込むときは返済計画を確かめてから
最近は、自己資金がゼロの状態で物件を購入される方も増えてきました。住まいの購入には物件価格のほかに、登記費用、火災保険料、銀行融資の保証料、仲介手数料といった諸費用がかかりますが、こうした費用に加えて、引っ越し費用やエアコン、家具、アンテナ、カーテンレールなどの費用まで、まとめて住宅ローンに組み込むケースが多くなっています。
手元の資金が少なくても住まいの購入に踏み出せるのは、賃貸からマイホームへの住み替えを考えている方にとって心強い選択肢です。ただし、どの費用をどこまでローンに含められるかは、金融機関や審査の内容によって異なります。また、借入額が増えればそのぶん毎月の返済額も増えることになります。
そのため私は、諸費用まで含めてローンを組む場合ほど、家計の状況を整理したうえで、無理のない返済計画になっているかどうかを確かめてから進めることをおすすめしています。購入できるかどうかだけで判断し、毎月の返済が暮らしにどう影響するかを確かめないまま話を進めてしまうことは避けていただきたいところです。
NISAかマイホームかの二者択一で考えなくてもよい理由
賃貸でNISAか、戸建ての購入かというご質問は、どちらか一方を選ばなければならないように聞こえるかもしれません。しかし実際には、住まいの購入とNISAによる資産形成は、どちらか一方しか選べないものとは限りません。
家計の状況を整理して無理のない住宅ローン計画を立てることで、結果的に支出の見直しにつながる場合もあります。
住宅ローン控除の活用や保険の見直しなど、取り組み方はご家庭ごとに異なりますが、見直しによって生まれた余裕を将来の資産形成に充てるといった、中長期的な視点でのご提案も行っています。住まいの購入をきっかけに家計全体を見直すことで、NISAなどの資産形成に回せるお金が見えてくることもあります。
賃貸を続けるか、マイホームを購入するかで迷っている段階こそ、住まいとお金の両方をあわせて考えるよい機会ですので、早い段階でご相談いただければ、物件探しと資金計画を並行して進めながら、ご家庭に合った選択肢を一緒に整理していくことができます。
ご購入後も、売却や借り換え、NISAや各種保険の見直しなどのご相談に応じていますので、長い目で見た住まいとお金の計画を一緒に考えていければと思います。
まとめ
家賃を払い続けるのか、その支払いを自分の住まいのために使うのかという視点で住まいを考えることが、今の暮らしと老後の安心の両方を見据えた選択につながると私は考えています。
・賃貸で生活を続けるか、一戸建てのマイホームを購入するかで迷っている方
・自己資金が少なく、諸費用を含めた住宅ローンの組み方や返済計画が気になる方
・住まいの購入とNISAなどの資産形成をあわせて考えたい方
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